『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』感想
久しぶりに映画の感想です。
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』Trumbo
2015/アメリカ
監督: ジェイ・ローチ
脚本: ジョン・マクナマラ
原作: ブルース・クック
出演: ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン、マイケル・スタールバーグ、ルイス・C・K、エル・ファニング、ジョン・グッドマン、エドワード・G・ロビンソン、アラン・テュディック、ディーン・オゴーマン、クリスチャン・ベルケル
作品紹介(映画.com)
「ローマの休日」など数々の名作を生んだ希代の脚本家ダルトン・トランボの波乱万丈な人生を、テレビシリーズ「ブレイキング・バッド」で知られるブライアン・クランストン主演で描いた伝記ドラマ。脚本家トランボはハリウッド黄金期に第一線で活躍していたが、冷戦の影響による赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒んだために投獄されてしまう。釈放された後もハリウッドでの居場所を失ったトランボは、偽名を使用して「ローマの休日」などの名作を世に送りだし、アカデミー賞を2度も受賞する。逆境に立たされながらも信念を持って生きたトランボの映画への熱い思いと、そんな彼を支え続けた家族や映画関係者らの真実を描き出す。共演に「クィーン」のヘレン・ミレン、「マレフィセント」のエル・ファニング、「運命の女」のダイアン・レイン。「ミート・ザ・ペアレンツ」のジェイ・ローチ監督がメガホンをとった。
感想
激しい思想の弾圧。
一つの国の中なのに、今にも分裂しそう。
表現の自由、思想の自由、それらを抑圧しようとしてくる世間に対し、強い姿勢で戦ったトランボ。
抵抗することは生易しいことではない。本人にとっても、周囲の人間にとっても。
善かれ悪しかれ、何かを貫こうとするということは、家族始め周囲の人間に強い影響を与えるということだ。
思想を貫こうとして、家族を失った人もきっといるだろう。
トランボもそうなりかけたが、妻が繫ぎとめた。家族が支えとなった。
トランボは、強いが同時に弱く、辛さも抱え、人に当たる。そんな人間くささが、観客の心を惹きつける。
偽名で書いた脚本でオスカーを獲ったトランボ。
弾圧してきた奴ら、ざまあみろって感じ。
トランボと知っていたら当時は絶対与えなかったであろう賞。
素晴らしいものは素晴らしいんだ。それを彼らは自分たちで認めたんだ。
この作品を観て、今の日本人は何を思うだろう。
私は政治に疎い方だが、それでもこの映画を観ながら、ずっと今の日本のことが頭から離れなかった。
日本もこれから、この時代のアメリカのようになるかもしれない………そう考えただけでゾッとする。
私はまだまだ若い。これから何年も何十年も生きる予定なのに、明るい日本の未来が見えない。
この映画を観て、「あのまま思想を、表現を弾圧し続ければ良かったのに」なんて思う人、かなり少数だと信じている。
決して抑圧されたくなんてない。
日本の明るい、自由がある未来を、私ももっと真剣に考えていかないといけないと思った。
もっと政治を勉強しなければ。
ここからは軽く。
主演のブライアン・クランストンは、あの有名なドラマ『ブレイキング・バット』の人、という知識しかなく。演技を見たことがなかったんだが、これがもう素晴らしかった。
主演だけではない。もう皆素晴らしい。ダイアン・レインの奥さんがとても良かった。
エル・ファニングが出ているのは知っていたはずなのにすっかり忘れていて、出てきたとき何故か軽く動揺する(笑)
エルちゃんは大好きだけど、実は今まで特別演技が上手いと思ったことはなかった。が、今回、意外にこの子演技派だ!と思った。娘の複雑な感情表現が上手い。
ヘレン・ミレンは上手くて貫禄があるだけに余計腹が立ちました。
ルイ・C・Kやジョン・グッドマン、エドワード・G・ロビンソン、クリスチャン・ベルケルあたりもかなり印象的。
あとはカーク・ダグラス役のディーン・オゴーマン。えらく今作では魅力的に見えました(笑)
実はカーク・ダグラスは作品を観たことがない。この映画でこういう人だったんだと知り、見てもいないのに好感度が急上昇中です。
今度何か出演作観てみよう。この流れだと、やっぱり『スパルタカス』かな。
逆に、ジョン・ウェインてそうだったんだ……と好感度急下降中の西部劇スターです。
映画の中で出てきた『黒い牡牛』がとても良さそうで気になる。
(と思っていたら、日本版DVDが出ていなくてショック………)
『ジョニーは戦場へ行った』や『パピヨン』、すごく印象に残ってる映画ですが、『ローマの休日』と同じ脚本家なんて知らなかった……。
ところでとても余談なんですが、映画の中で実際のアカデミー賞授賞式の映像が流れるんですよ。
『ローマの休日』で原案賞を受賞したとき。プレゼンターのカーク・ダグラスを呼び込む、司会の方。一瞬しか映りませんでしたが、私、気付いてしまいました。彼がドナルド・オコナーであったことを………。
姿ははっきり見えなかったけどそれでもオコナーさんに見えたし、何よりこの声!間違いない!と、観終わってから調べたところ、ドンピシャでした。
第26回アカデミー賞授賞式、司会はドナルド・オコナー。
さすが私!すごい!オコナーさんに気付くなんて!大好きですから!!
ちなみに一応説明しておくと、ドナルド・オコナーとはあの『雨に唄えば』でジーン・ケリーの相棒役を演じていた彼です。
軽やかなタップダンスにコミカルな演技、優しい歌声……大好きです(笑)
と、映画本編とは何ら関係のない話で締めくくります。
ありがとうございました。
トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 ハリウッド映画の名作を残した脚本家の伝記小説
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