ミュージカル『レ・ミゼラブル』2019年 感想
東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』。今年も大阪公演に行ってきました。
2015年に初観劇、そして2017年も観て、今年は最多5回の観劇。
プリンシパルキャストはほぼコンプリート出来ました。
ほぼキャスト感想です。メモ書き。
私は観劇したのは、7/3、7/10マチソワ、7/15マチソワです。
スタッフ
作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作:ヴィクトル・ユゴー
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳:酒井 洋子
訳詞:岩谷 時子
プロデューサー:田口 豪孝/坂本 義和
製作:東宝
感想メモ
内容は一緒なので、改めて内容の感想はいいかなと思ったのですが、いくつか個人的メモ。
コゼットとバルジャンの初対面のシーン。この場面を見ると、絶対原作を読んだときに大泣きしたことを思い出す。
急に現れた得体のしれない男を全く怖がりもしなかったコゼット。「この人は自分を救ってくれる」と本能で分かったのだろうか。初対面で即通じ合った心に、号泣。
ミュージカルではコゼットが最初びっくりしてますが、原作では驚いてさえもいなかったような?
「コゼット思い出す〜」の場面、5回中2回が完璧見切れでした、悲しい。エポニーヌ見たかった。この場面好きだし。
前から思ってましたけど、ミュージカルでのグランテールとガブローシュの仲良しさなんなんですか!?最高。二人見てるだけでも泣く。
テーブルの上に上がり、ラマルクの死を伝えると、アンジョルラスに抱き上げられて机から下ろされるガブローシュ(ここ何回見てもなんか微笑ましくて笑いそうになる)、そのあと真っ直ぐグランテールの元へ。
そして熱狂してアンジョルラスのもとに集まる学生たちからガブローシュを引き離すグランテール。
Drink With Meで泣いてるグランテールに走り寄って抱きつくガブローシュ。
ガブローシュの死でのグランテール…。
二人のキャラクターが好きなので追いがちですが、さんざん泣かされますね。
A Heart Full of Loveも泣きどころ。
恋に無邪気なマリウスと、孤独なエポニーヌ。
そもそもコゼットの場所をエポニーヌが教えて、それで彼女はその場に残ろうとするけど、マリウスが呼ぶじゃないですか。「エポニーヌ!」って。あそこの感情ってなんなんですかね。ただ友人に着いてきてほしいってことなのだろうか。エポニーヌは呼ばれてマリウスの手を引いて走りますが、なんとも残酷な場面だよなぁ。
エポニーヌとコゼットの再会がまた胸が痛いのです。逃げる時、門越しに見つめ合う2人。今は愛され、輝きの中にいるコゼットと、地の底でドロドロになって生きるエポニーヌ。対比が苦しい。
最初観た時、Empty Chairs at Empty Tablesでガブローシュがいなくて驚き。そしてラストもいない、というかカテコもいない!そして気が付く、ソワレ故の子役の時間問題ですね……。仕方ないとは言え、彼がEmpty〜とラストシーンにいないのは悲しい。
これまで気づいてなかったんですが、エポニーヌ「警察だわあいつはジャベール」の時に、ガブローシュがそばにいるんですね。というか、ジャベールがきたぞ!とエポニーヌに教えてますね。姉弟の絡みがあって私は嬉しい。
エポニーヌが死んだ時、ガブローシュがショックを受けてますよね。
観客は姉弟ってことを知らなくても、ボロボロになって暮らすもの同士で親交があったのだろうと思うことは出来ますが、やっぱり姉弟だと思うと……。
お姉ちゃんの死を悲しむ弟。駆け寄ろうとして、グランテールに止められて。その腕の中で力をなくして。
エポニーヌが死に、運ばれていく死体を見送り、落ちていた彼女の帽子を……姉が愛した男性に手渡す。
ずっと最後にバルジャンが「私は父じゃない」って言うの謎でした。コゼット引き取った時にはコゼットは物心ついてるし、知らないおじさんが連れに来たって覚えてるだろ!って。
でもあれってつまり、引き取る時に「コゼット私の子だ」というのを、本当の(血の繋がった)父が連れに来てくれた、という意味に思ってた(バルジャンもそう思わせるように言った?)から、ラストの告白になるのか。という今更な気づき。原作どうだっけ……。
7/15のマチネ、二幕すごい泣いた。そこまでの3回はそこそこだったんだけど。このキャストやばい。
キャスト別感想
今回はたくさんのキャストが観られたので、キャスト別に感想メモ。
キャラクターによって文章量に歴然とした差が(笑)
ジャン・バルジャン
福井晶一
美声。清廉な、美しく真っ直ぐな歌声。
このバルジャンは、いかにも真っ直ぐで誠実な人柄感がある。
序章の荒々しさも良いし、生まれ変わってからの清純さが素敵。
7/10マチネでは「24653」下げてきて、調子悪い?と。とてもそうは思えない声してましたが。
吉原光夫
バルジャンとしては一番好き。
何より冒頭の野性味、野良犬感。傷つけられボロボロで、人を信用出来ないバルジャン……すごく良い。イメージぴったり。決して元々美しい善人ではなかった感が。
そこから生まれ変わっての市長の凛とした佇まいに、失われない強さが最高。
リトルコゼットに対する一際優しい歌声にもグッとくる。
他のバルジャンもそうかもですが、光夫バルジャンの時に気がついた。エポニーヌにめっちゃ優しい。(手紙届けにきたとこ)
佐藤隆紀
とにかく美しい歌声。
が、荒々しく高音な部分「ジャン・バルジャンは死んで生まれ変わるのだ」とかが弱いかな。苦手音域っぽい。
シュガーバルジャンは「24653」が低い。これは常でしょうか?ここは上げて欲しい……惜しすぎる。
光夫バルジャンとは対照的に、元々「良い人」感が強いバルジャン。
ジャベール
川口竜也
空気を貫く真っ直ぐな美声。まさに自分の正義を貫くジャベール。
美声で真っ直ぐだけど、頑固そうな。
バルジャンとジャベールのキャストは、人によっては役を交換してもできるけど、やっぱりそれぞれ選ばれてる役の違いを感じるなーと川口さん聞いてて思った。
一番正統派かな。
ひたすら真っ直ぐな、清廉なジャベール。
下水道から抜けたバルジャン達の元にきたとき、歌声はすごくはっきりしてて荒々しいのに、もう顔がほぼ泣いてて辛そうで。この表情見て「うわっ(涙)」ってなった。
今回の自殺でもちょっと泣いたけど、それよりこのシーンのこの表情が刺さった。
上原理生
川口さんの真っ直ぐ清廉潔白さに比べて、悪役感が強めかな、と思う。
ややねちっこい。
3階最後列で体にビリビリ響き渡るStarsの凄まじさ。なんて声だー!
伊礼彼方
ジャージーボーイズの時も思ったが、歳の取り方がやたら上手い。Look Down後の再登場でビックリした。見た目も老けさせてるけど、声の感じが違う。
最初の方は真っ直ぐ凛々しく美しい声だが、伊礼ジャベールは他の二人に比べ、なんとなく抜けてるというか、アホっぽくも見えた。若いせいなのか?
素晴らしい声。というかジャベールが似合う。
自殺で泣いた。伊礼ジャベール、なんかもう、ボロボロで。ぐしゃぐしゃで。どうしたらいいのか本当に混乱してる感じ。私ジャベールの自殺で泣いたの初めてかも。
一瞬このジャベール怖いって思う雰囲気があった。どこのシーンかは忘れた。
ファンティーヌ
知念里奈
この人は本当に、声が苦手なんですよ私。はっきり言って嫌いなタイプ。
強いなぁ〜……。
死ななそうって思った。演技は割と良いと思うけど、いかんせん声が趣味じゃ無さすぎて辛い。
濱田めぐみ
期待は高かったがとにかく上手い。
歌はもちろん演技も上手い。歌は3人の中でダントツ上手い。
死の場面のボロボロさが良い。目開けたまま息を引き取る。他のファンティーヌは違ったよね?
二宮愛
可憐さがある。
これと言って私の好みではないけど、ファンティーヌとしては一番好みかもしれない。
しかし3人とも、I Dreamed a Dreamはあんま泣けないな……けっこうみんな強い。
「男に捨てられても生きていけるよね?」感がある。二宮ファンティーヌが一番それが薄いかな。
そして死の場面がみんな良い。
エポニーヌ
昆夏美
完璧なエポニーヌ。歌も演技も素晴らしい、そして大好き。
強くたくましく、やさぐれていて、でも一途で真っ直ぐなエポニーヌ。
なんて声。やや低音の部分の太さとかすごく好き。色鮮やかな歌声なの。
「その髪好きだわ」でマリウスの頭両手でくしゃくしゃってやるの好きー!
One Day Moreでエポニーヌ見ながら目が潤んだ、初めて。
昆ちゃんで、今季初めてOn My Ownで泣いた。
最後の「安らかだわいつも雨は」のあたりの、死に行くゆったりした歌い方で涙腺崩壊です。
自分がマリウスに愛されることはないとはっきり分かっていて、それでもマリウスを愛し抜く強い女性。
カテコの時小野田くんと仲良しで仲良しで仲良しで、とても可愛かったです。手繋いでだか肩組んでだか忘れたけど、とにかくわちゃわちゃと一緒にはけてくの。知ってたけど、目の当たりにするとまじで仲良し!
唯月ふうか
エポニーヌにふうかちゃんは可愛すぎだろと思ってたら、なんのその、すっごく良いエポニーヌ!
とは言えやっぱり可愛さがかなり強めではある。
声も可愛いのに、芯のある強さ。エポニーヌにはそれがないとね。
撃たれたあと、「どうした君何を」に振り向いて、マリウスと目が合うとニコッとしたエポに涙が。
ふうかちゃんエポニーヌは一番いじらしい。
あと、一番希望を感じさせる。もしかしたらマリウスが自分を好きになってくれるんじゃないかっていう希望。他の2人にはない。切ない。
One Day More「ふたつにひとつ」と歌うマリウスをじっと見つめ、「行かせるものか」とばかりに学生たちの元に連れてくエポニーヌが悲しい。
屋比久知奈
歌唱披露を聞いて大丈夫か?と思ってたが、始まると評判良いので割と楽しみにしてた屋比久ちゃん。
第一声はやっぱり苦手な声かもと思ったけど、聴いてたらいやそんなこと!声も割と好みです。
演技が良い。
可愛さよりやさぐれ感が強く、それが原作の雰囲気に近くて好き。荒っぽくやさぐれてて、でも純で一生懸命。
屋比久ちゃんは他の2人に比べて、少女っぽいというか子どもっぽい。それも悪くない。見たのが2回とも海宝くんとのペアだったせいか、妹感が強く出てた。マリウスに相手にされてないな……って。
カテコのおじぎが深すぎてかわいい。
エポニーヌは3人とも、カテコの時に長すぎるコートの裾を持って、テテテーとはけていくのがめちゃめちゃ可愛い。
マリウス
海宝直人
相変わらずの坊ちゃん感と、とてつもない歌の上手さ。
キラキラした目でお金差し出さないで!(腹立つ)
「なにくれる?」って言われてお金差出すのって、無意識にエポニーヌを下に見ているよね。まあマリウスはお坊ちゃんで、エポニーヌは親はいても浮浪児みたいなもんだから、確実にエポニーヌはお金に困ってはいるんだけど。
弾を拾いに行こうとして止められた時の、「ここにいても同じだ」の捨て鉢な言い方が好き。
今回初めて海宝くん以外のマリウスを見て、比べて初めて気づく、海宝マリウスの大人っぽさというか、やや硬質な感じ。優しいのに、冷たさも感じるような。
内藤大希
初めて見た海宝くん以外のマリウス。(東宝で)
何このマリウス!好き!!!
純というか、懸命な感じ。
このマリウスは本気でエポニーヌの恋心に気づいてなさそう。
ほんとバカっぽい、でもそれが好き。
「彼女と行くか仲間と行くか ふたつにひとつ」のすごい悩みっぷりが良い。
ひたすら真っ直ぐで、全力で、一所懸命なマリウス。かわいい。
「まさかあの日ジャン・バルジャンに救われた」のとこの、ショック受けて後悔しまくってる姿。
全てが全力という感じで、大層好印象。
コゼット
生田絵梨花
やはりあまり声は好きじゃない。
この子の声は細いのにどこか中性的というか少年ぽいというか、硬質な感じがあって、そこが不思議。そういうとこはけっこう好きなポイントのようで、でも平たい感じがイマイチかな……。
でもとにかく可愛い。見てて癒される。キラキラしたオーラが、愛されるコゼットらしくて良い。
小南満佑子
美声ソプラノ。
真っ直ぐ美しい歌声で好き。
熊谷彩春
楽しみにしてた、噂の彩春コゼット!
すごく良い。上品で凛としていて、コゼットのイメージにピッタリ!
アンジョルラス
相葉裕樹
キラキラ感がある、ギラギラ感もある。
声のハリと艶やかさが凄い。カリスマ性があって、歌声にも輝き溢れる。
若くて親近感が沸くアンジョルラス。上山アンジョはもう少し近寄り難い感じだったかな?
いつか相葉ジャベールと海宝バルジャン観たいなって。
ガブローシュ死んだあとの戦いで歌うシーン、やぶれかぶれな感じ。悲壮感、もうどうにでもなれ、ってなってる。
上山竜治
真っ直ぐないかにもリーダー格なアンジョルラス。
ばっちがキラキラなら、上山さんはとても堅実な感じ。
冷静なリーダーで、思考で引っ張るタイプな印象。
小野田龍之介
3人の中で一番普通の人っぽい。
リーダー性よりはなんというかみんなの先輩?お兄さん?感。近しい感じがあって親近感沸く。ようでいて、やっぱり近寄りがたい気も。
とにかく歌が良い。ひたすら良い。声が好きすぎる。あの声にどこまでも付き従っていきたい。
テナルディエ
駒田一
荒々しさが強め。
橋本じゅん
悪役感が強くてかなり良い。
KENTARO
とにかく上手い。演技も上手いし声もすごく良い。テナルディエはみんな上手いが、一番好きかな。
テナルディエ夫妻嫌いなんで、わかりやすくコメント短い私。
テナルディエは、見た三人でそんなに大きな印象の違いは感じない。
そして三人とも、演技も歌もすごく上手い。
FNS見ると、舞台で観れなかった斎藤テナルディエだけ印象違うかな。かなりねっとりしてそう。
マダム・テナルディエ
森公美子
荒々しさ強めだし、コメディ感も強め。
安定の森さん夫人。
鈴木ほのか
荒っぽさが強い。
上手いし荒々しいのはいいとして、あまり叫ぶような歌い方(演技)が好きではない。
朴璐美
細くて爆乳ですね……(笑)
コメディ感より悪役感が強くてかなり良い。
この人と鈴木さんはセクシーさ押し出してる。
朴さんかなり好みかも。
ガブローシュ
大矢臣
かっこいいけど年相応の幼さとか可愛さを強く感じさせて、なのにしゃきっとしてて、好みのガブローシュ。
一番好みかな。
勇者ガブローシュとしての凛々しさかっこよさと、浮浪児の少年としての幼さが絶妙なバランス。かっこよさのが強め。それが良い。
エポニーヌが死んだと同時に力抜けてた大矢ガブローシュ。
小林佑玖
かなり幼い。ガブローシュにしては幼すぎる。あとスタッカート気味な歌い方が少しだけ気になるけど。
が、かなりの美声で凛としているせいか、無駄な甘さ幼さは感じさせなくて、これまた好みのガブローシュ。
というか歌めっちゃ上手くないか!?
坂野佑斗
凛々しくすごくかっこいい声。
一番年長なので、やっぱり一番頼りがいのありそうなガブローシュ。
グランテール
川島大典
コメディ感強めで声がちょっと高め。そこが好みじゃないが、全体的な演技は良い。
丹宗立峰
本当にかっこいい。ワイルドで酒に溺れていても実は冷静で、一歩引いて皆を見てるグランテール。大人。
丹宗グラン大好き。
「レッド」(燃える魂)の時はマリウスを指し、「ブラック」(孤独な夜)ではアンジョルラスを指してたけど、マリウスがそのまま歌ったので、「お?」って感じで笑ってた。
フイイ
これは役者の話ですが、前半組のフイイ、マチソワした時、マチネで「来い相手になるぞ」が裏返ってるけど大丈夫かこの人?となってたら、ソワレでは下げてきましたね。
後半組は安定してました。
終わりに
感想というか、ただのメモになりました。
今回けっこうたくさん観れたし、やっぱり好きだなーと改めて思った作品。
早くも2021年公演が発表されたので、また楽しみです。
海宝くんが今回で卒業ということですごく寂しかったけど、内藤マリウスがかなり気に入ったので、次も期待してます!(出てね)
あとは昆ちゃんエポニーヌがどうか……今回一回しか観れなかったので、是非続投を。
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