すきなくらし

映画、ドラマ、小説、舞台等の感想記録と、たまに雑記

2015年舞台『レ・ミゼラブル』感想

 

念願の『レ・ミゼラブル』の舞台を観てきました。

2年越しです。
2年前は台風のせいで地元から出られず、チケットを無駄にしました。普段台風の影響そんなにない土地なのに、こんな時に限って。
いまだに悔しいのが、その時取っていた回のガブローシュ役が加藤清史郎君だったこと。とても見たかった。

と、そんな悔しい思いを抱えつつ、昨日、初めての生舞台の鑑賞です。夜の回を観てきました。
席は18列目、上手より。観やすかったです。

私のレミゼ知識

10周年コンサートのCDをレンタルして聴いたのが入り口
日本含む世界各国のCD、10周年コンサート映像、25周年コンサート映像、2012年のミュージカル映画
そしてヴィクトル・ユーゴーによる完全版原作。(新潮文庫版)
リーアム・ニーソン版映画、ジャン・ギャバン版映画、リノ・ヴァンチュラ版ドラマ、ジェラール・ドパルデュードラマ(短縮版)。
それからジャン=ポール・ベルモンド版映画。
あと解説本『レ・ミゼラブル百六景』

ハマったのはそんなに昔ではないです。
ちょうどその年の終わりに『レ・ミゼラブル』公開って知ったような記憶があるので、多分2012年の初め頃でしょうか。
タイミングいいなと思いました。
まだまだ短いファンです。

ちなみに10周年が入り口ですので、10周年のキャストがいまだにマイベストキャスト。

そしてこの記事を読まれる方に、前提として言っておきたい。
私はガブローシュとエポニーヌが大好きです。
よって、感想はこの2人についてが多めになってしまっているので、どうぞご了承を。

2015年8月9日夜公演キャスト

ジャン・バルジャン福井晶一
ジャベール:岸祐二
ファンティーヌ:知念里奈
エポニーヌ:笹本玲奈
マリウス:海宝直人
コゼット:若井久美子
テナルディエ:KENTARO
マダム・テナルディエ:谷口ゆうな
アンジョルラス:上原理生
ガブローシュ:北島大輝
リトル・コゼット:上山りのん
リトル・エポニーヌ:吉村宇楽
グランテール:丹宗立峰

初鑑賞の感想

とにかく迫力が凄い。
そして思っていたよりキャストのレベルが半端なく高い。皆さんものすごく上手いですね。当たり前っちゃ当たり前のことですが。
生の迫力。歌声もですが、音響も凄い。

内容はまあ分かってるので。よく知っているレ・ミゼラブルです。
やはり感動しました。

バルジャンとジャベールが上手すぎて上手すぎて震えました。
びっくりしました!心の中で何回「すごい…上手い…」と思ったことが。素晴らしかったです!

アンジョルラスも良い声で、リーダーシップを取るキャラにピッタリの凛々しさ。

エポニーヌはここだけキャスト狙ってチケットを取りました、笹本さん。
思っていたよりも強く、純なだけでなく荒れた感じも出したエポニーヌで、とても私の好きな感じ。良かったです。
On My Ownの後半の迫力に少し鳥肌立ちました。

ガブローシュも可愛い系ではなく、私の好きなかっこいい系の歌声のガブローシュ。やや歌詞が聞き取りづらいかな、と思う箇所もありましたが、満足です。

マリウスもけっこうマリウスっぽい。嫌味のない好青年風。

テナルディエ夫妻はもう…キャラがあまり好きじゃないのでアレですが、役者さんはもう上手いですね。

個人的にイマイチだったのがファンティーヌとコゼット。
どちらも線が細めで……キャラクター的にはそれでいいのかもしれませんが、どうも私は好きな声じゃなかったもので。
夢やぶれてが泣けなかったのが自分的にもったいない…。

地味に好きなキャラクター、グランテール。
渋い。かっこいい。そしてガブローシュとの絡みが多くて、すごく目に入りました。

何しろ初なもので、ここの場面は舞台でどういう演出をするんだろう…っていくつも思っていたのですが、いざ観てみると、なるほどそう表現するのか、と。そういう部分も面白かったですね。

思ったほど大号泣はしなかったです。もう嗚咽漏らすくらいかと思っていたけど(笑)
内容は分かりきっているので、心構えが出来ていたのでしょう。

そして思ったのが、分かっていたはずなのですが、思っていたよりかなり展開がはやい。あれよあれよと言う間に進んでいく。
凄まじいスピードだなぁと。

しかし本当にレベルの高さと迫力に圧倒されました。日本のミュージカル界もなかなか凄いんだなぁと思いました。
満足です。観に行って良かった。

ところで。
グッズのシークレットチャームを買ったのですよ。エポニーヌが欲しくて。
5回も買って、散財してしまったのにも関わらず!最後までエポニーヌは出ませんでした。
コゼット、ジャベール、ジャベール、コゼット、マリウス&アンジョルラス。
すごくショック……。
マリウス&アンジョルラスは革命のシンボルっぽいから、ガブローシュも含まれてるし!とか勝手に思って心を慰めています。(でもM、Eってイニシャルが入っているのでどう見てもマリウスとアンジョルラス)

あ、パンフレットも購入しました。分厚くてびっくり。

ネタバレ感想

古典作品の内容に関してはネタバレも何もないだろう、と思うタイプです。
が、まあ一応。演出についても少し触れているので。
嫌な方は以下読まないでください。

始まりは、船を漕いでいる場面から。
ミュージカル映画と同じですね。

バルジャンとジャベールは第一声を聴いて大興奮。凄すぎる。

バルジャンが司教から銀食器を盗み、捕まったバルジャンに司教はさらに銀の燭台を持って行きなさいと手渡す。

ここはやはり感動場面ですね。司教がいなければバルジャンは改心することはなかったでしょう。
人間は受け入れ、赦しを与えてくれる人がいるからこそ、心を清めることができる。
否定するばかりでは、その人はどんどん堕ちていく。

ファンティーヌ、最初歌い出したときから、「あ、これはダメなタイプの歌声だ」と思ってしまい、若干テンションが下がる。
I Dreamed A Dream"が泣けないなんて……。正直、悪いけどいまひとつでした。

テナルディエ夫妻の"Master of the House"が長い……。とても長い。

ここでのリトルコゼットとリトルエポニーヌの対比が印象的。後のことを思うと。

リトルコゼットとバルジャンの初対面は感動。原作では大好きな場面です。虐げられている幼いコゼットの目に、バルジャンはどんなに光り輝いて映ったことでしょう。
バルジャンに救われコゼットはテナルディエ一家から解放。

時は流れ。

"Look Down"で待ちに待ったエポニーヌとガブローシュの登場、そしてガブローシュのソロ。
一番好きなキャラクターというのはえてして不安なものですが、良い!
第一声を聴いた瞬間、この子は良い、と思いました。
凛々しくかっこいいガブローシュです。
この曲はガブローシュのソロ多いし…(笑)

エポニーヌ。かっこいい歌声。
笹本さんは昔のCDでエポニーヌを聴いていましたが、思っていたよりもすごい迫力で、最初聴いてびっくり。
何回も言いますが、やや荒れた感じも出した、気の強いエポニーヌ。原作の、汚さと美しさが同居したエポニーヌが好きな私、このエポニーヌは良かったです。
ミュージカル版だとけっこうとにかく純なイメージがあるので。

コゼット、第一声でこちらもファンティーヌのように「あんまり…」と思ってしまい。残念。

学生たち。
"Do You Hear the People Sing?"はやはり名曲!
出だしのアンジョルラスの小声での歌が凄く良かった。
盛り上がり、熱くなる曲ですね。

この一連の学生シーンの最後だったでしょうか、グランテールがガブローシュを追い返そうとしていたのが目に入りました。
危険だからでしょう。

この時点で、「この舞台ではグランテールがガブローシュを気遣う設定なのかな」と思いました。そうでした。

"A Heart Full of Love"、最初コゼットがベランダにいたので、脳内で「ロミジュリか!」と突っ込んでしまった。
昔のヨーロッパでの恋愛はバルコニーでの密会ですかそうですか。
が、そう思ったのもつかの間、コゼットすぐに降りてきて、外に出てきました。
エポニーヌの歌詞が切なく響く曲。

やってきたテナルディエを追い払い、コゼットと対面するエポニーヌ。
この時の2人の反応がもう。
エポニーヌはコゼットのことにこの場面より前から気づいていました。多分顔を合わせたくなかったはず。子どもの頃自分がコゼットに偉そうにしていた。今ではコゼットは綺麗なお嬢さん、エポニーヌは貧しく、親の片棒を担ぎ食べていってる。惨めな姿。
コゼットは、そこで初めてエポニーヌに気づいて驚いた。ここの驚きはどういう感情だったのでしょう。

第一幕終わり、"One Day More"
皆の心の叫びが合わさる、これまた大迫力の名曲。
素晴らしい。

第二幕、これも待ってました、エポニーヌの名曲"On My Own"
鳥肌立ちましたよ、後半!とても良かったです。
哀しい歌声、というよりもはや叫び。胸に響きました。

ガブローシュがジャベールの正体をバラすところ。
やっぱりここでの"Little People"はないのですね…。

エポニーヌの死。
なんか早いな。というか冷静に考えてみると、エポニーヌの出番ってけっこう短いですよね⁉︎

心構えをしてたせいか、"Little Fall of Rain"の初めの方は、目が涙でうるうる…くらいで済んでいたのですが。
途中で通りかかったガブローシュが、ハッとなって立ち止まる。
そこで泣いてしまいました。

ミュージカルではエポニーヌとガブローシュの姉弟設定は出てきません。
が、こんなところで、知ってる人には分かるように、微妙にその設定を出してきました。

死にかけの姉の姿に呆然としているガブローシュの姿が……。

そしてエポニーヌが息を引き取り、運ばれていくところで、エポニーヌの帽子を拾い、それを持って追いかけようとするガブローシュ。
が、止められる。
その帽子をマリウスに手渡した後、グランテールに縋り付く。

"Drink With Me"は、グランテールただ一人が、人間の死に対しての恐怖、戦いが無駄になることへの恐れを語っている、大好きな曲です。この曲があるから、グランテールが大好きです。

隅で座り込んでしまったグランテールをガブローシュが抱きしめます。
そして2人して酒をあおる。

ガブローシュの死。

弾を拾いに飛び出していくガブローシュ。
姿はバリケードの向こうに消え、"Little People"を歌う声だけが聞こえてくる。
ここで私、泣きそうになりながらも、「ガブローシュの死の姿は見せないの⁉︎」と内心焦る。
が、歌の最後でガブローシュはバリケードに戻って来て、てっぺんに姿を現す。
仁王立ちして高らかに歌い上げていたところで、トドメの一発。歌い終えることもなく、ガブローシュは息を引き取る。
グランテールが彼を抱えます。

そしてついに、仲間たちは皆死。

ジャベールの死。
ここの川に飛び込む演出はいったいどうするのだろうと、一番疑問に思っていたところですが、なるほど。
映像で見せるわけですが、リアルでしたね。
そしてここのジャベールは一番の見せ場ですが、もう素晴らしかった。
ジャベールって可哀想な人間なんですよね。

バルジャンがマリウスを担いで下水道をいくシーンの演出も映像で。これもすごい。リアル。

マリウスの"Empty Chair at Empty Table"は感動。
歌も演出も感動。
アンジョルラスたち、仲間たちが皆幻の姿を見せる。
マリウスも、皆一人一人灯りを手に取り……その灯りに、亡くなった者たちの姿に、心が引き裂かれそう。
「ああ友よ聞くな」のところがもう胸にグサグサ突き刺さりました。
幻も去っていき、残されるのはただ一人、マリウスのみ…。

結婚式でマリウスたちが去った後もテナルディエ夫妻の見せ場があるわけですが。
テナルディエ長いよ!!
ガブローシュがあんなに出番少ないのに、テナルディエめ!という個人的な感情で観ていました。テナルディエ夫妻のファンの方ごめんなさい。
でもテナルディエ夫妻めちゃめちゃ上手い。

ついにラストへ、バルジャンの死。

一人で死のうとしていたバルジャンの元へ、コゼットとマリウスがやってくる。

ところでここのバルジャンの歌詞に「私は父じゃない」とありますが、引き取った時のコゼットはそんなに幼児というわけではないんだから、記憶あるでしょう!!と突っ込んでしまいます。

ファンティーヌが迎えに来る、とても泣ける。
そしてエポニーヌも現れる。
ファンティーヌとエポニーヌ、2人に導かれ、バルジャンは死。

ところでここでエポニーヌが現れるのもけっこう疑問。
ファンティーヌとバルジャンの関係は濃いですが、エポニーヌとバルジャンはたいして絡みないので。
まあ私エポニーヌ大好きだし、やっぱり感動してしまうのでいいですが。

そして、締めの"Do You Hear The People Sing?"
最高です。素晴らしい。
感動して泣きながら興奮して。

観に行って良かったと、本当に思いました。

ところでなんでガブローシュとグランテールがこんな親しい設定なんですかね⁉︎全然構わないのですけど!むしろ私的には嬉しい組み合わせなんですけど!
何故グランテール……と思って。
この2人の親密な演出って昔からですか?

しかし本当に良かった。
やっぱり生でないと味わえない迫力がありますね。

そしてまたガブローシュとエポニーヌへの愛情が強まりました。