すきなくらし

映画、ドラマ、小説、舞台等の感想記録と、たまに雑記

ついに戦争の終結へ。カットニスの運命は。『ハンガー・ゲームFINAL:レボリューション』

ハンガー・ゲームFINAL:レボリューション』"The Hunger Games: Mockingjay - Part 2"


2015年/アメリ
監督: フランシス・ローレンス
脚本: ピータ・クレイグ、ダニー・ストロング、スーザン・コリンズ
原作: スーザン・コリンズ
出演: ジェニファー・ローレンスジョシュ・ハッチャーソンリアム・ヘムズワース、ウッディ・ハレルソン、エリザベス・バンクスジュリアン・ムーアフィリップ・シーモア・ホフマンジェフリー・ライト、ウィロウ・シールズ、サム・クラフリン、ジェナ・マローン、ナタリー・ドーマー、スタンリー・トゥッチドナルド・サザーランド

作品紹介

スーザン・コリンズのベストセラー小説をオスカー女優ジェニファー・ローレンス主演で映画化した全米大ヒット作「ハンガー・ゲーム」シリーズの完結編。カットニス率いる第13地区の反乱軍は、スノー大統領が支配する独裁国家ネムとの最終戦争に突入。カットニスは、ゲイル、フィニック、ピータらとともにスノー大統領暗殺作戦を決行する。しかし、カットニス抹殺に執念を燃やすスノーはその作戦を見抜いており、反乱軍は死のトラップや無数の敵に直面。カットニスはかつてない非道な選択を迫られることになる。シリーズ2作目からメガホンをとるフランシス・ローレンスが引き続き監督。共演はシリーズおなじみのジョシュ・ハッチャーソンリアム・ヘムズワースドナルド・サザーランド、そして14年2月に急逝し、本作が最後の出演作になる名優フィリップ・シーモア・ホフマンら。(映画.com)



感想

シリーズ四作目にして、ついに完結。

正直、今作は私、かなり面白かった。
悲しくて辛くて、でも思いっきり引き込まれた。一瞬たりとも目を離せない、気を緩められない。
彼女らの行く末をしっかり見届けなければ。
胸が痛くて痛くて、苦しかった。
シリーズ中一番好き。このシリーズを追っかけて良かったと思えた。


ちゃんと三作を復習して、記憶バッチリの状態で観ることをお勧めします。
今までの内容を覚えていると、グッとくる場面が多かった。


前作同様、アクションよりは人間ドラマ色が強い。割と静かめに、映画は進んでいく。ひたすらアクションの派手さを期待してるとイマイチでしょう。前作が気に入らなかった人はダメだと思う。前作と同じテイストだから。
しかしやっぱりアクションシーンはかなりの迫力。映像が凄い。カットニスの、皆の戦う姿も格好いい。
けれども、静かな場面でも緊張感は全く途切れず、終始ドキドキしていた。



悲劇的な展開が相次ぐ今作。
物語は戦争という名の「ハンガー・ゲーム」へ。

もともと暗いシリーズですが、いろいろショックすぎてしばらく引きずりそうです。



登場人物が多いので、出てきてたいした見せ場もなく死ぬキャラとかいて、そういうのは少し勿体無かったかと思います。特に覚えもしないうちにもう死んだとか……。死ぬためだけのキャラかな、というか。
どうしてもカットニスの視点で進むので、その辺は仕方ないかとは思いますが。



あとミュット。こいつらが出てきたときは、このシリーズもこういう方向に走っちゃうの⁉︎と思ったけど(笑)
でもこの敵は少しの登場だったんで良かったです(笑)



何回も実感していることですが、このシリーズは本当にジェニファー・ローレンスありきだなと。
ジェニファー演じるカットニスの素晴らしさ。ジェニファーだから完璧に表現できた、カットニスという人間。
完全無欠ではない、向かう所敵なしでもない、だからカットニスに心を寄り添えられる。普通の少女で、でも勇気と優しさは桁外れの人間。彼女を見続けたい、見届けたいから、最後までこの映画を追った。


最大の敵スノーはドナルド・サザーランドですから。もう素晴らしい。文句なし。抜群の演技。


ピータとの関係もシリーズ通して気になるところでしたね。
私にしては珍しくティーンの恋愛が気に入ったのは、つまりピータとカットニスの関係が好きなのは、派手じゃないからかな。
激しく燃え上がるような恋の描写ではない。静かで、深い愛情。
まあ理屈ではなく、カットニスとピータの愛は見てて感動した。染み渡る。

今回のピータの、自分を取り戻していこうと努力し葛藤する姿。自分自身と戦う姿。カットニスと交わされる会話の数々に涙が溢れた。
ピータもどれだけ辛かったことか。
何回も「本当?ウソ?」と尋ねるピータは痛々しかった。


ところでジョシュ・ハッチャーソンが昔から上手いのは分かってたけど、今作で久しぶりに上手さを実感した。破壊された精神、自制できない暴力、戻りつつある優しさ……。とても良い。



割と初めの方で出てくる、「殺し合いはいつも私情よ」というカットニスの台詞が相当印象的。とても考えさせられるものがありました。





















ネタバレあり









何がショックって、フィニックとプリムの死。
正直プリムよりフィニックの方が衝撃が大きかった。
今作のフィニック、とても素敵だったから。優しくて優しくて、勇敢で。ピータにとても優しいのがもう。
ニ、三作目では特に好きなキャラというわけではなかったのに、今作で好感度急上昇。フィニックが死んだら立ち直れない……と思いながら観ていたら、案の定の死。
最後まで戦って、「カットニス!」とカットニスに助けを求めながらの、大量のミュットに食われていく壮絶な死は、本当に辛かった。自分に助けを求めながら友が目の前で死んでいくのはどんなに辛いか、カットニスを思っても泣ける。
というか死んだ時はショックすぎてすぐには涙も出ないくらいでしたよ。もう無理だ……。

プリムの死は、実は知っていました……。昔原作読もうかなぁと思って感想読んでたら、死ぬって書いてあったんで……。くそぉ。
あとプリムの死は一瞬すぎて。どこかあっけない。しかし哀しい。
ここまできて、カットニスが一番守りたかった妹を死なすとか……。壮絶な展開。
カットニスが猫を見てやっと感情を爆発させるシーンはとても辛かった。



結局コイル首相も、スノー大統領と同じようになってしまった。
首相に関する全てが明かされたとき、これもまたショックで。結局偉い人間は皆同じなんだ、自分のためだけに、権力のためだけに動くんだと。人間なんて汚い。
首相が、「多くの死刑の代わりに、ハンガー・ゲームを」と言ったとき、心底ゾッとした。血の気が引いた。
スノー大統領の処刑の場で、カットニスはコイル首相を殺すと思った。そしてそうした。それは観客の誰もが望んだであろうこと。首相がいる限りあの世界は同じことの繰り返し。

カットニスはヒーローだけど、首相を殺したのは、民衆のためというより、何よりもプリムの仇を討つためだったと思う。
優しいけど誰に対しても慈悲に溢れているわけではない。憎い相手は憎い。仇は仇。その人間くささが好きだ。
そして彼女の優しさも。

初めの方で、兵士に銃を突きつけられて語る言葉に感動した。優しい。とてつもなく。



今作のカットニスとピータのやり取りは本当にもう……泣けた。
好きな色について。カットニスが語るピータのこと。
"Stay with me." "Always." のやり取り。過去がフラッシュバックする。
カットニスとピータはお互いを守ってきた。
やっと、やっと!幸せになれた。
「僕を愛してる。本当?ウソ?」「本当」



カットニスとヘイミッチ、そしてピータは第十二地区に帰る。
この三人を見るとホッとする。何よりの仲間だと思う。ヘイミッチは最初から最後まで好きなキャラだった。


物語は、カットニスとピータが、自らの子どもたちと幸せにしている場面で終わる。
カットニスが腕に抱いている赤ん坊に語りかける。

想いあっていた二人が家族となり、幸せに暮らすというエンディングには意外性はないけれど、良い終わり。


うん、良い終わりだった。
スノーもコイルも死に、理知的な新しい大統領の元でキャピトルも平和になる。民主主義の世界。ゲームもなし。
そしてカットニスとピータの穏やかな生活。


悪夢のような時間を駆け抜け、革命は成功し、ようやく幸せをつかんだ。

犠牲はとてつもなく大きかった。




このエンディングが見れて良かった。







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ハンガー・ゲーム 上 (文庫ダ・ヴィンチ)

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