すきなくらし

映画、ドラマ、小説、舞台等の感想記録と、たまに雑記

ひとつひとつ解決していけば、きっとたどり着ける。『オデッセイ』

『オデッセイ』 The Martian


2015年/アメリ
監督:リドリー・スコット
原作:アンディ・ウィアー
脚本:ドリュー・ゴダード
出演:マット・デイモンジェシカ・チャステインクリステン・ウィグジェフ・ダニエルズマイケル・ペーニャショーン・ビーンケイト・マーラセバスチャン・スタン、アクセル・ヘニー、キウェテル・イジョフォー、ドナルド・グローバー、マッケンジーデイビス


作品紹介(映画.com)

火星にひとり取り残された宇宙飛行士のサバイバルを緻密な科学描写とともに描いた、アンディ・ウィアーのベストセラー小説「火星の人」を映画化。極限状態の中でも人間性を失わず、地球帰還への希望をもって生き続ける主人公マーク・ワトニーをマット・デイモンが演じ、「エイリアン」「ブレードランナー」などSF映画の傑作を残してきた巨匠リドリー・スコットがメガホンをとった。火星での有人探査の最中、嵐に巻き込まれてしまったワトニー。仲間たちは緊急事態を脱するため、死亡したと推測されるワトニーを置いて探査船を発進させ、火星を去ってしまう。しかし、奇跡的に死を免れていたワトニーは、酸素は少なく、水も通信手段もなく、食料は31日分という絶望的環境で、4年後に次の探査船が火星にやってくるまで生き延びようと、あらゆる手段を尽くしていく。



感想

今回は原作読了済み。
問題→解決→問題→解決・・・を繰り返し、きっちり説明をしてくれていた原作。
映画でこれ毎回説明してたらどうなるんだ・・・と思ったけれど、説明は最小限にとどめてある。それで特には問題ない。
いくつかはばっさりカットされていたけれど、その分かなりテンポが良い。ポンポン進んでいく。


マーク・ワトニーが大好きになる。
皮肉とユーモア溢れる人間で、決して諦めない。マット・デイモンの演技が非常に良くて、ユーモアたっぷりの茶目っ気ある表情と、一人で思いつめたような顔つき、また真剣に考え込んでいる姿のギャップが刺さる。辛くないわけがない。苦しくないわけがない。諦めかけたこともきっとある。それでも彼は諦めない。ユーモアと知識を武器に、ひたすら前へ前へと進んでいく。
彼にとってはユーモアと皮肉こそが、彼自身の心を奮いたたせる手段だったのかもしれない。そして、彼は自分を信じた。自分の知識を、自分の力を。きっと、彼は生きるために必要なものを持っていた。
観客は彼と一緒に喜怒哀楽し、また心から彼を応援し、帰還を待ち望む。
彼の笑顔に、私も思わず笑みがこぼれる。涙には、共に涙する。


人間って不思議だ。たった一人を救うため、多くの人間がすべてを注ぎ込み、また世界中の人間が彼が帰ってくることを待っている。
ワトニーを通じて、人々の心がひとつになる瞬間。問題に悩み、息をつめて見守り、失敗に嘆き、成功に歓喜する。観客が、ワトニーの帰還を待ち望む人たちと心が一体となる瞬間が、この映画には多くある。


人間は、諦めない人間が好きなんだろう。生きるために全力を尽くす人間が。
私はすぐ諦める。やっても無駄だと。
でもやはり前向きな心が大事だ。
もちろんこの作品の場合は、ワトニーの知識がないと生き残れなかったわけだけど。でも私も、せめてワトニーのようなユーモアと前向きさは心に持てるようにしよう。








ところで、原題はThe Martianのこの作品、邦題はオデッセイ。
odysseyとは、英和辞書によると、「長い冒険」「長期の放浪」「長期の冒険旅行」「遍歴」「大叙事詩
このタイトル、そんなに嫌いじゃない。







お目当てのひとつだった、「良い人」ショーンさんが見れたのも満足です(笑)








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ネタバレがちょっとあります。






原作通りの本作だが、映画にはワトニー帰還後の後日談がある。
ワトニーは、新たに宇宙を目指す若者たちに語っている。教師だろうか、呼ばれて講演しにきたのだろうか。
死が迫っているとき、「受け入れるか、闘うか」
ワトニーは語る。「ひとつ問題を解決したら次に取り組む。そうやっていけば帰れる」

とにかく、ひとつひとつ。解決するんだ。






非常に満足だった本作ですけど、ひとつだけ不満を言いたい。
ワトニーをインターセプトで救うのが、船長になっている・・・!原作ではベックとフォーゲルなんですけど。彼らの見せ場が・・・特にベックの。
船長はこのシーンがなくてもここまでで十分かっこよかったのに!!