すきなくらし

映画、ドラマ、小説、舞台等の感想記録と、たまに雑記

『ミス・サイゴン』2017年版 感想

 

2017年最初の生観劇は、『ミス・サイゴン』でした。

2017年1月8日 昼公演
@梅田芸術劇場メインホール

U-25当日引換券 A席2階7列

ミュージカル『ミス・サイゴン』大阪公演特設サイト 梅田芸術劇場

 

 

 

 

内容紹介

1970年代のベトナム戦争末期、戦災孤児だが清らかな心を持つ少女キムは陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でフランス系ベトナム人のエンジニアが経営するキャバレーで、アメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、アメリカ兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂いていく。
クリスはアメリカに帰国した後、エレンと結婚するが、キムを想い悪夢にうなされる日々が続いていた。一方、エンジニアと共に国境を越えてバンコクに逃れたキムはクリスとの間に生まれた息子タムを育てながら、いつの日かクリスが迎えに来てくれることを信じ、懸命に生きていた。
そんな中、戦友ジョンからタムの存在を知らされたクリスは、エレンと共にバンコクに向かう。クリスが迎えに来てくれた−−−心弾ませホテルに向かったキムだったが、そこでエレンと出会ってしまう。クリスに妻が存在することを知ったキムと、キムの突然の来訪に困惑するエレン、二人の心は千々に乱れる。したたかに“アメリカン・ドリーム”を追い求めるエンジニアに運命の糸を操られ、彼らの想いは複雑に交錯する。そしてキムは、愛するタムのために、ある決意を固めるのだった−−−。

 

 

スタッフ

オリジナル・プロダクション製作: キャメロン・マッキントッシュ
作: アラン・ブーブリルクロード=ミッシェル・シェーンベルク
音楽: クロード=ミッシェル・シェーンベルク
演出: ローレンス・コナー
歌詞: リチャード・モルトビー・ジュニア/アラン・ブーブリル
翻訳: 信子アルベリー
訳詞: 岩谷時子

 

 

キャスト

エンジニア: 市村正親
キム: 笹本玲奈
クリス: 上野哲也
ジョン: パク・ソンファン
エレン: 三森千愛
トゥイ: 藤岡正明
ジジ: 池谷祐子
タム: 君塚瑠華

 

 

 

感想

※内容に触れてます。

実は観るのは初めてだったのですが、レア・サロンガにハマってた時、オリジナルロンドンキャストのCDをヘビロテしていたので、曲と内容は一応把握した状態で臨んでいました。

ミス・サイゴン』の物語自体は私好みではないし……と思っていたので、期待値は割と低め。

ですが、面白かったです。
物語が好きかどうか言われたらやっぱりちょっと…て感じですけど、音楽は好きだし、作品全体としてはどっちかといえば好きかな……って感じになりました。

まあやっぱりクリスは最低だなと。

ひたすら女性の健気さが際立つ内容ですね。

とは思いつつ、二幕最初の『ブイ・ドゥイ』を聴いて、遅まきながらはっとしたんです。
こういう事態に陥っているのは、キムとクリスとタムだけじゃないって。
本当に数えきれないくらいの男女が同じようなことになっていたんだろうな……と。

そう思うと、キムのことを愛して、一応は気にしていたクリスは、まだマシな部類なのかなと。
やるだけやって捨てる男の方がはるかに多いでしょうからね。

しかしまあ、結論としては「悪いのは全て戦争」ですね。行き着くところはやはりそれ。
戦争は悪ですよ。

もうエンジニア役はラストということで、エンジニアはどうしても市村さんで観たかった。
役の完成度が素晴らしかったです。歌唱力と演技力はお墨付きですが、やっぱり長年やってる役って、物にしてる感が凄いですね。

エンジニアってキャラクターもけっこう悲しいよな……。

もう一人のお目当キャストはもちろん藤岡さん
トゥイは出番は少なめですけど、もう本当に藤岡さんは素晴らしかった
キムを求める愛情と、受け入れられない怒り、暴力的な行為に走ってしまう荒っぽさ、そしてまとわりつく悲しみと狂気………。
トゥイって悪役っちゃ悪役なんでしょうけど、可哀想なキャラクターですよね。
また、いつ聴いても驚くばかりの歌声。巧みな感情表現を乗せての歌声に、もう唖然とするばかりでした。

ところでキムがトゥイを撃ったあと、倒れたトゥイの手を泣きながら握ってるシーン、感動したな……。

キムは昆夏美さんでチケット取っていました。
しかし昆ちゃんの降板により、笹本さんに。

笹本さんはけっこう好きな方なんですけど、たまにちょっと歌い方キツすぎかなーと思う時もあるんですね。
でも今回は基本的にとても可憐な歌い方をされていて、それがすごく純なキムっぽくて。その中でガツンと激しい歌い方をするのがいいんですね。怒りや悲しみを爆発させる時や、強さを見せる時。

キムとレミゼのエポニーヌを演じる女優ってだいたい被ってますけど、ラストでクリスに抱かれて歌いながら息絶えるシーンはどうしてもエポニーヌに重なりました………。

あとはエレン役の三森さん良かったな。
エレンとキムの対面シーンは泣きました。
両方の思いが分かるし、辛くて悲しくて。

クリスやジョンも歌声綺麗でとても上手くて良かったんですけど、クリスは特に「こいつ……!」的な目線で見てしまうので(笑)
でもお二人とも良かったです。
最近韓国の方多いですね。上手い方ばかりやなー。

タムは喋らないけど猛烈に可愛かったです(笑)

今回のキャストは私的に歌声が苦手なタイプもいなかったので、より満足です。

もっと「こんなもんか」で終わるかと思ったけど、面白かった。
久々に自ら進んでスタンディングオベーションした気がする。

あーしかし!
新妻聖子さんがキム役やってる時、やっぱり観に行けば良かった……!(悩んだ末観に行かなかった)