『その女アレックス』
『その女アレックス』ピエール・ルメートル
- 作者: ピエールルメートル,橘明美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/09/02
- メディア: 文庫
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今回はネタバレなしで。
『悲しみのイレーヌ』に引き続き、ヴェルーヴェン警部シリーズの二作目。
こちらは日本でかなりヒットした作品で、基本的にミステリに馴染みがない私でもずっと気にはなっていた。
母が勧めてきたので読んだのだが、つくづく、ちゃんと順番通り『悲しみのイレーヌ』から読んどいて良かった……と胸を撫で下ろした。
これから読む人は、ぜひ一作目『悲しみのイレーヌ』からどうぞ。
そもそも何故シリーズ二作目の方が日本語訳先に出されたんだろう?
本国でもこっちの方がヒットしたのかな?
さて、本作も面白かった。
が、個人的に衝撃度は『悲しみのイレーヌ』の方が上だし、そっちの方がより面白かった。
どんでん返し系だと思って読み進めていたが、その手の衝撃はあまりなかった。
ただただ、悲しい。
要は悪意の連鎖である。
全てが明かされたとき、驚愕よりもむしろ納得した。
動機が分かったから。
事件自体はどれも酷いものだったが、対照的にカミーユが前に向かって進んでいく姿が印象的だった。
『悲しみのイレーヌ』で酷い痛手を受けたカミーユ。あんなに苦しい目にあったのに、それでも立ち直れる。
人間って強い。
泣いて苦しんで、それでもいろいろと昇華していったカミーユの姿に胸がいっぱいに。
そしてシリーズ二作目となった今作では、カミーユ、ルイ、アルマンの関係がさらに絆の深いものとして描かれている。
カミーユとルイ、カミーユとアルマンのそれぞれの関係性にものすごく感動しました。
人間関係の深みと、その人物たちに惚れ込めるという点は、シリーズ作品の醍醐味だよなぁ。
まだまだ、カミーユたちに会える。
一作目よりさらにこの三人が好きになった。
あ、ル・グエンもね。
案外ヴィダールも悪くないと思うよ。
というわけで、ヴェルーヴェン警部シリーズ三作目以降も日本語訳出版、待っています。