すきなくらし

映画、ドラマ、小説、舞台等の感想記録と、たまに雑記

『その女アレックス』

『その女アレックス』ピエール・ルメートル

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

今回はネタバレなしで。



『悲しみのイレーヌ』に引き続き、ヴェルーヴェン警部シリーズの二作目。

こちらは日本でかなりヒットした作品で、基本的にミステリに馴染みがない私でもずっと気にはなっていた。

母が勧めてきたので読んだのだが、つくづく、ちゃんと順番通り『悲しみのイレーヌ』から読んどいて良かった……と胸を撫で下ろした。
これから読む人は、ぜひ一作目『悲しみのイレーヌ』からどうぞ。

そもそも何故シリーズ二作目の方が日本語訳先に出されたんだろう?
本国でもこっちの方がヒットしたのかな?




さて、本作も面白かった。

が、個人的に衝撃度は『悲しみのイレーヌ』の方が上だし、そっちの方がより面白かった。

どんでん返し系だと思って読み進めていたが、その手の衝撃はあまりなかった。

ただただ、悲しい。
要は悪意の連鎖である。



全てが明かされたとき、驚愕よりもむしろ納得した。
動機が分かったから。








事件自体はどれも酷いものだったが、対照的にカミーユが前に向かって進んでいく姿が印象的だった。

『悲しみのイレーヌ』で酷い痛手を受けたカミーユ。あんなに苦しい目にあったのに、それでも立ち直れる。

人間って強い。
泣いて苦しんで、それでもいろいろと昇華していったカミーユの姿に胸がいっぱいに。


そしてシリーズ二作目となった今作では、カミーユ、ルイ、アルマンの関係がさらに絆の深いものとして描かれている。

カミーユとルイ、カミーユとアルマンのそれぞれの関係性にものすごく感動しました。

人間関係の深みと、その人物たちに惚れ込めるという点は、シリーズ作品の醍醐味だよなぁ。
まだまだ、カミーユたちに会える。

一作目よりさらにこの三人が好きになった。
あ、ル・グエンもね。
案外ヴィダールも悪くないと思うよ。


というわけで、ヴェルーヴェン警部シリーズ三作目以降も日本語訳出版、待っています。



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