人間の残虐さが露わになる『蝿の王』
『蝿の王』
1990年、アメリカ
監督: ハリー・フック
脚本: サラ・シフ
原作: ウィリアム・ゴールディング
出演: バルサザール・ゲティ、ダニュエル・ピポリー、クリス・フュール、ゲイリー・ルール、ジェームズ・バッジ・デール、ボブ・ペック
原作は、ノーベル文学賞受賞者のウィリアム・ゴールディングによる小説。
未読です。
この『蝿の王』は以前に軽く調べていて、今はもう調べた内容は覚えてないけど、「なんか凄かった」という印象の記憶だけ持ったまま観ました。
それから、ジェームズ・バッジ・デールが出演していることはバッチリ覚えてました。
そもそも彼が出演している、ということで調べていたので。
何役かまでの記憶は何もなかったので、観ながら、主人公ラルフか、小さいサイモンかどっちだろう……と思っていて、最終的に、サイモンぽいな!と結論付けました(笑)
エンドクレジット見たらやはりサイモンでした。
ラルフはバルサザール・ゲティ。
ちょっと顔立ちもですけど、主に雰囲気かな?『スタンド・バイ・ミー』のリヴァー・フェニックスにそっくり、と思いました。
ボブ・ペックが出てきたことにびっくりしました。
「ジュラシックパークのかっこいいおじさんだ!」と(笑)
いやぁ、本当に凄かった。
思ったよりも残酷でした。これはある意味ではホラー映画ではないか?と言いたくなったくらい。
無人島で、子どもだけでの団体生活を余儀なくされた少年たち。最初は協力し合おうとしたものの、だんだんと対立するようになる。嫌な、傲慢で残虐な部分を出し、行動はどんどんエスカレートし、ついには取り返しのつかないところまできてしまう。分かっていても誰にももうそれは止めることが出来ない……。
やはりこの作品が怖いのは、「子どもだから」というのは多分にあると思います。
大人がやっていると思えば納得する気がする。
子どもでも、頭ではもちろん十分あり得ることだと分かってはいるんですけど、やはり子どもだと「子どもなのにこんなことを……」と、まず感情で思ってしまうんですね。
いや、でももしかしたらこういうある意味狂った状況になるのは、「子どもだから」だとも言えるのかも?わからない。人間なら大人子ども関係なく、どんな風にでもなり得る、とも思います。
自分の思うままに突っ走るリーダー格の少年と、それに妄信的に従う取り巻きたち。そして自分の利益の為に従いつつも、罪悪感を持つ少年たち。
皆、決定的な出来事が起こったとき、明らかにそれが間違っていると分かっていながらも、決して自分たちの間違いを認めようとはしない。自分の責任ではない、こうなったのは自分のせいではないと、目をそらす。
立ち止まって後悔するどころか、その一瞬の戸惑いは更なる攻撃へと変化する。
それに対立する少年は、絶望と恐怖と戦う、強い信念と勇気を持っている。
しかし悲しいかな、人間やはり多勢に無勢では勝てない。
武力を持って向かってくる大勢の相手に、ほんの少数で勝つなんて、結局のところ無理なんですよね。
ラストの少年たち。
特に「狂っていた」彼らは、どんな思いでいたのでしょうか。
宜しければお願い致します↓
にほんブログ村
- 出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
- 発売日: 2003/04/11
- メディア: DVD
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
- 作者: ウィリアム・ゴールディング,William Golding,平井正穂
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1975/03/30
- メディア: 文庫
- 購入: 37人 クリック: 711回
- この商品を含むブログ (157件) を見る